テン君のこと
今回のテン君の悲しい事件をうけて自分の気持ちの整理するために、久々にブログを再開しました。ほんとは艦これ on ICEと無良提督のレポの話で明るく再開するつもりだったのだけど!
私が初めて「デニス・テン」という選手個人を認識したのは、彼のシニア参戦初年度の2009年のロサンゼルスワールドのFSのテレビ放送でした。
その前年に生で見たイエテボリワールドではカザフスタンの代表選手はアブザル君でした。FSの順位は最下位だったのだけど元気いっぱいに滑っていて、現地の方々の声援が温かかった記憶があります。外周を彼が歩いているのを見かけた地元の人が、笑顔で声をかけている場面も見かけました。
そんなこともあって、ロスワールドのテン君のFSの滑走前のコールを聞いた時に、「あれ?去年の彼じゃないんだ」と思いました。なぜSPの時にそう思わなかったんだろと思いおこして当時の記録を調べると、50人滑走(この当時はほんとに多い)の29番目だったので、SPの時は特に国名を意識して見ていなかったのかもしれません。
そんなテン君のFSは知っての通り。
ニュースで一報を聞いた後はほとんどSNSは見ずに過去の映像とプロトコルを眺めていたのですが、この2009年のFSは最初の2本の3Aで持っていかれたなあと懐かしく。入りの表情とか終わった後のスタオベとか氷にキスするところとか、9年前だしそんなに繰り返し見ていたわけでもないのに覚えてます。この時のテン君の演技はロスワールドのハイライトの一つだと思います。そして余談ですが、アメリカのTVはスタオベとるカメラワークがうまい。
その後、生でテン君の演技を見たのはバンクーバー五輪が最初で、それからいろんな会場のいろんな試合で彼を見ました。彼のプロはどれもよいプロなのだけど、その中でも印象的だったシーズンは、SP・FSともにアーティストだった12-13と、なんといっても四大陸優勝&上海ワールド3位だった14-15。
14-15はエリックにも観戦に行ったので彼が出た試合を3試合生で見ることになりましたが、全ての試合で表彰台でした。とにかくこのシーズンのFSのシルクロードプロがよすぎて!優勝した四大陸は本当によかった。この大会、テン君とハンヤンとミーシャの仲良し3人組が本当にキラキラしてて、今見直すと眩しいぐらいです。
そして表彰台が3試合ということでEXも3回見れたのですが、エリックでのみ見れた"Mi Mancherai”が忘れられないというか、今回の訃報を聞いた時に頭になんともなしに流れてきたのはこの曲でした。このEXは持ち越しだったのでシーズン最初の方だけのお披露目だったのかな、なぜだかわからないけれど自分の中ではテン君というとこの曲が浮かんでしまいます。
ひとつひとつのプロの思い出を書き出すとキリがなさそうなので、昨季の話を。平昌では残念ながらFSに進めなかったのだけど、昨季のFSの”SOS d'un terrien en detresse”を私が最初の見たのは10月のニース杯のライストでした。ニース杯の会場は私がニースワールドを見に行った時の練習会場だったので懐かしい。建物の4階か5階で、珍しく外からの光が入ってくるリンクなのですが、その光と窓から見える街の風景が素敵なリンクです。
ニース杯の男子FSはそんなリンクにちょうど西日が入ってくる時間に行われていました。選手はやりづらくないのかな?と思ってしまいつつ、見てるこちらからすればその西日に照らされるリンクの神々しさがハンパない感じでめっちゃ印象に残りました。ニース杯っていつもこんな感じなんだろか?当時とったスクショを1枚だけのせます。
このスクショ、なぜか私のiMacの画面全面でのスクショで撮っていたのでトリミングしたのですが、もともとのスクショにはTwitterの画面も入っていて、当時同じライストを見ていた方のログも残っていました。自分がフォローしあっているテン君好きな方のコメント群がとても懐かしいと同時に、今回の件でどれだけそのフォロワーさん達が胸を痛めているかと思うと、たまらなすぎて言葉がありません。
そんなニース杯でのテン君の演技は下記にyoutubeの動画があります。この曲、てっきり女性が歌っているものだと思って検索したら、カザフ出身の男性が歌ってると知ってびっくりしました。そして今更、歌手のDimash Kudaibergenさん(というか君)はテン君とは友人関係で、このFS用の音源はそのために収録していたことを知りました。
今回の事件の後のハーシュ(Philip Hersh)さんや記事を見たら、今年のルール改正にあうように30秒縮めた構成でこの曲を持ち越して今期のFSに使おうとしていたことを知りました。そのメールをテンくんがウィルソンさんに送ったのが先週で、CBCの記事によればSPはローリーさんの振り付けが始まるはずだったってことは、ロステレのアサイン見た時に「ほんとに?」と思っていたことは本当だったんだなと。
ハーシュさんのテン君の記事
http://www.globetrottingbyphiliphersh.com/home/2018/7/19/a-sad-untimely-farewell-to-denis-ten-iconic-as-the-artist-on-ice
CBCのローリーさんのコメントのある記事
実際の事件も思い出すとつらいのだけど、それ以上につらいのが、テン君が思い描いていた未来が沢山あったのに、それらを叶える前に逝ってしまったということ。このハーシュさんの記事の中にあるウィルソンさんのコメントの"Now it is gone.”が、本当に悲しくてつらくて悔しい。小塚君やリプちゃんが「ショーに誘ってくれてたのに」と言ってたのもそうで、彼らは何もなければ来年のテン君の"Denis Ten and Friends"で、テン君と一緒に滑っていたのかもしれない。
そしてテン君の思い描いていた未来は、テン君ファンのこちらの方のブログ記事でも知りました(そしてこちらのブログ主さんの今を思うと本当に胸が痛い)。
冒頭に「今後についてはアイスショーの後に決定する予定」とあるように、きっと自分のショーの後でいろいろ考えた先の答えが先週のウィルソンさんへのメールとローリーさんへの振り付け依頼に至ってるのでしょう。何もなければおそらく彼が現役続行を決めたということは、ローリーさんのところでSPの振り付けが始まったというレポで知ることになったのかもしれない。もしかしたら、彼のインタつきで。
2日たって犯人2人とも捕まって、相手がテン君と知らないで起こった犯行ということが判明してきているようです。供述上はそれだとしても「本当は知ってて妬んだんじゃないの?」という声もあるようですが、私は本当に気づかなかったんだと思っています。多分、気づいていたら起こってない事件、テン君はカザフスタンという国にとってそれだけの人だったと思っています。
今回の事件はそこに至るまでのいくつかのターニングポイントの「たられば」が、全部最悪の方向に振れて最悪の結果になってしまったと思っています。直前に彼と食事をしていた方の事件の後のinstagramのコメントが本当につらくて(彼を見に行けばとかひきとめておけばとか、そういうたらればのいくつかを後悔されてる内容)、誰か彼の側にいてあげてほしいと心から思いました。あなたのせいじゃ決してないんだよ、あなたが残してくれたテンくんの笑顔の最後の動画は宝物ですって伝えてあげたい。
ストーリーズの動画は24時間で消えてしまうので、私は消える前になんとかと思いツールを使って保存しましたが、今はそのお友達(@rus_libirry)の方がハイライトで見れるようにしてくださったので(しんどい時だろうに本当にありがたい)、今のところは時間を気にせず見ることが可能です。
あと今はyoutubeの下記でもその動画は見られます。こういうのツイだとアレだけどここにアドレスを残しておきます(ほんとはブログでもアレなんだろうというのはわかってるけど!)。ほんとに、ほんとに楽しそうで素敵な笑顔。
カザフスタンではテン君の記念碑をという声もあるそうで、そのことそのものはよいと思うのですが、こういうことがあって記念碑と聞くと、私はいつも浮かべてしまうのは古めの曲の「TRAIN TRAIN」の歌詞です。もう言ってもどうにもならないってわかっていることなんだけど、本当に生きていて欲しかったです。
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世界中に定められた どんな記念日なんかより
貴方が生きている 今日は どんなに素晴らしいだろう
世界中に建てられる どんな記念碑なんかより
貴方が生きている 今日は どんなに意味があるだろう
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これからまだまだ長い間、私は試合やアイスショーに足を運ぶのだろうけれど、ふとした時にきっとテン君のことを思い出すんじゃないかなと思ったりします。他の方はどうだかわかりませんが、私にとっては「一生忘れない」なんて綺麗な言葉じゃなくて、「一生忘れられない」枷って感じ(テン君のせいじゃないよ!)。特にまだ先だけども2020年の四大陸は2015年と同じソウルなので、きっと。
めちゃくちゃ大きい出来事が起こってその日を境に日常のいろんな意識が変わった感がしたのは9.11や3.11がそうなのですが、今回のテン君のこの件は自分にとってはそういう出来事のひとつかなと思いました。とりあえず本当に人生いつ何があるかわからないので(昨今日本でもそういう事件も多いですし)やりたいとか行きたいとか思ったことはちゃんと実行に移そうとか、そんなことを思います。
なんだか長くなってきたので、今日ライストで見た追悼式のこととか、また思うことが出てきた時は別エントリーで追記します。
正直まだまだ全然実感がわかないのですが、心からご冥福をお祈りいたします。
2018-07-21 :
昔話 :
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